学力向上拠点形成事業報告
1 研究概要

◎研究のねらい

これまで実践してきた教育活動を見直し、それぞれの教育活動の質をさらに向上させ、生徒の進路目標を達成させることを第一とし、それを通して「生徒が誇りを持つ学校づくり」を進めていく事とした。
具体的な目標としては、「生徒の進路希望達成率100%」を掲げる。
本校には、多種多様な進路希望を持って新入生が入学するが、3年間の学習の結果、進学希望先の難易にかかわらず全員の合格を目指し、卒業時にはできるだけ進学準備者・自宅待機者ともにゼロに近づけたい。

◎概要

「進路目標の達成」を目指すために、過去2年間実践してきた教育活動を詳細に見直し、最終年度として、「学校教育の質」を高めていくことを目標にした。
そのために次のようなことを実践こうもくとして設定し、一層充実した教育活動の展開を図ることとした。

ア. 「わかるまで徹底して指導する」授業の研究

  1. 工夫を凝らした課題(宿題を生かした授業作り)
  2. 系統的な週末課題を生かした授業作り
  3. 外部模試に対する積極的な意欲付けと綿密な対策

イ. 学習意欲の喚起・継続・発展

  1. 「学習実態調査」を生かした学習指導・教科指導
  2. 進路指導の全体計画の作成と全教員への周知
  3. LHR・総合的な学習の時間を利用した学業への動機付け
  4. 朝読書の実施による落ち着いた学習環境の整備

ウ. 教員の授業の「質」のさらなる向上

  1. 「学力向上対策委員会」を軸とした全教員の意識の向上・共通理解の推進
  2. 「宮城教育大学」と連携した「わかる授業」の研究
  3. 研究授業を通した授業実践の研究と生徒への還元
  4. 各種研究会(教員間・予備校等)を通した技術力の向上

エ. 発展的・補充的な学習の推進

  1. 課外授業(放課後・長期休業中)のさらなる充実
  2. 全員対象である土曜講習の積極的展開

オ. 主要教科に於ける習熟度別学習(少人数学習)の実施

 

2.成果
  1. 19年度みやぎ学力状況調査結果に於いて、「授業がわかる生徒の割合」が、
    1年次生徒〔昨年比+13.5%(24.5%→38.0%)〕、
    2年次生徒〔昨年比+23.9%(24.5%→48.4%)〕と激増

  2. 定期考査に於ける1・2年生の欠点所有者の減少
    〔20年度前期期末考査:対前年同学年比〕
    (1年:8.5%→5.5%、2年:26.4%→22.5%、3年:16.7%→18.5%)

  3. 校外模試に於ける成績上位者の増加
    〔20年度1年・2年7月進研模試:対前年同学年比〕
    (1年:8.5%→5.5%、2年:26.4%→22.5%、3年:16.7%→18.5%)

 

3.成果についての検証
  1. 公開研究授業の継続的な実施、全教職員の共通理解のもと作成したシラバス、的確な課題等によって、生徒が自ら勉強する意欲が少しずつであるが向上しているのではないか。
  2. 「2.成果」でも示したように、各種調査の値が向上しているのは、3.の1.の工夫が浸透しつつあるのではないか。
  3. 勉強だけではなく、「全体的な教育活動の質の向上」に努めた結果、部活動の活動も意欲的になってきたようである。
    具体的に、昨年度は、弓道部が初のインターハイ出場(団体ベスト16・個人準優勝)、今年度は、野球部の県予選での躍進などが挙げられる。

 

4.課題とその改善
  1. 校内上位者でも、校外模試ではなかなか高得点を取れていないのが実情である。そのため、真の実力をつけさせるためには何をすべきか(生徒側・教員側ともに)多面的に模索している。
  2. 大学で学ぶ学問のみならず、高校での学習に対しても関心が低い保護者が多いので、生徒・保護者ともに3年間かけて啓蒙しなければならない状況にある。
  3. どのような方策を展開していくことになっても、最も重要な課題は、全教職員が、常に共通理解を図って、一丸になって取り組むことである。
  4. 学力向上対策委員会により実効性をもたせ、教育課程委員会と連動させて、全校的な学力向上を図りたい。
  5. 次年度以降もこれまでの結果を検証しながら、できる限りの取組みを有機的に連携させながら、実践していく予定である。